757 名前:713-714=724 投稿日:02/12/10 05:53 ID:???
ぼんやりと授業ノートを眺めながら、ラジオのトーク番組に耳を傾ける。
冬の夜は冷え込みが厳しいが、夜中に特有の静寂感が勉強を捗らせてくれる。
温かいココアを飲んでいると、ふと今日の授業内容を思い出してしまう。

1時間目は自習で、2時間目はキムリンの古文。3時間目は英文読解・・・
何時ものことだけど、あいつは今日も榊さんの宿題ノートを写していたっけ。
体育大学を目指すにしても、あれで本当に入試の筆記問題は大丈夫なのかな。

尤も、大学受験は来年の話だし、いざとなれば何とかなるような気がする。
それよりも、オレは最近になって面白いことに気がついた。
校内でもトップレベルの頭脳と運動能力を有している、榊さんのことだ。

入学当初は寡黙なイメージの強かった彼女だが、同じクラスに転校してきた
天才小学生こと美浜さんとの出会いをきっかけに、徐々に打ち解けていく・・・
友達付き合いが不慣れだったのか、榊さんの行動にはぎこちなさが目立っていた。

758 名前:713-714=724 投稿日:02/12/10 05:54 ID:???
>>757
ところが、ある時期を境にして、彼女の行動がより自然体なものになっていく。
灯台下暗しとは良くいったもので、身近な存在であるほど分かりにくいものだ。
あれだけ毎日付き合っておきながら・・・我ながら、情けない限りである。

オレの知っているガサツな女の子は、彼女を孤独から強引に連れ出したらしい。
お昼休みは一緒にお弁当を食べて、雑誌をめくっては何かと話しかけている。
何時しか、彼女は他のクラスメートとも会話を楽しむようになっていた。

美浜さんにはお姉さんとして慕われて、校内でも有名な仲良しグループの一員に。
勉強が苦手なショート・ヘアーの女の子には、嬉しそうに宿題ノートを見せている。
なるほど、そういうアプローチの方法を選びましたか・・・本当に、あいつらしいな。

暫く物思いに耽っていると、飲みかけのココアがすっかり冷めてしまった。
ぐいとそれを飲み干すと、机の上に出しているノート類を片付ける。
草木も眠る丑三つ時、今夜もそろそろ寝ましょうか。