196 名前:あず青労同大阪派 教労委員会 ◆cYgcZQZw 投稿日:2002/11/04(月) 06:04
【1】「くそっ…あのガキまで…陰で私の事を体脂肪女とか眼鏡ブスとか言ってたなんて…」
普段のよみならば強気に言うべきセリフだが、彼女は頭から布団をかぶり、声は弱々しく震えている。
なによりも、授業中に保健室に来ているということが、彼女の憔悴を物語っていた。
「元気出そうよ!ちよすけは後で私がいじめといてあげるからさ!」
付き添いでベッドの横に座っているともが、目一杯元気よく声をかけた。
ともにすれば、よみを励ましたい一心で力強い言葉を選んだのだが、
それがかえっていけなかった。
「智!どうせあんたもデブだとか思ってるんでしょう!!」
がばっと跳ね起きたよみの絶叫が響く。泣きはらした赤い目が、ヒステリックにともをにらんでいる。
「え…あ……」
とっさの出来事に、ともは言葉が見つからない。よみはうつむいて激しく泣き始めた。
どうしていいか分からなくなったともは、目をそらすしかなかった。
と、目をそらした先に、壁に取り付けられた姿見があった。
「………」
ともは向き直ると、よみが泣きじゃくるのにかまわず、
「よみ、こっちへ来て!」
と、よみの手を引っ張った。
「何するのよ!ほっといてよ!!」
「いいから来なさいよっ!!」
ともの気迫に、今度は、よみが言葉を失う番だった。

197 名前:あず青労同大阪派 教労委員会 ◆cYgcZQZw 投稿日:2002/11/04(月) 06:05
【2】泣くのも忘れ、おっかなびっくり姿見の前に連れてこられたよみ。
女の子は、生理的に泣く。それを上回る衝撃を与えれば泣きやみ、後には放心だけが残る…
それを見透かしたかのように、ともは素早く後ろからよみの体に手を回し、
ストラップの下に隠れているジッパーをおろした。
ばさっ、と制服の上着がよみの頭をくぐる。
よみの白い肌が、姿見に映し出された。
「あ…」
想像を絶する事態だというのに、よみはかすかに声を上げただけだった。
ともは彼女に考える間を与えない早さで、スカートを脱がせにかかる。
「……きれい…」
スカートが滑り落ち、よみの足下に輪を作った瞬間、ともが思わずつぶやいた。
よみはようやく思考を取り戻したが、恥じることも、ともの行いをいぶかることもしなかった。
姿見に映る、下着とニーソックスだけになった自分の体を、じいっと見つめていた。
多くの同性があこがれ、自分も望んできた「大人の女性の体」そのものが、鏡に映っていた。
「…ねえ…よみ、太ってるかな……違うよね…」
よみの腕にもたれかかりながら、ともも鏡に映るよみの裸を、うっとりと見つめている。
よみは「ああ」と言いかけたが、口をつぐんだ。頬が少し赤い。
そして、一呼吸置いて、つぶやくように、しかしはっきりとともに向けて言った。
「分からないな……、ともと、比べてみないと…」

198 名前:あず青労同大阪派 教労委員会 ◆cYgcZQZw 投稿日:2002/11/04(月) 06:08
【3】「…ともって……意外と大人っぽい体型なんだな…」
「意外ととは何だっ…でも、水泳の時に言ったけどさ…私、おなかにくるんだよね……あっはっは」
ともも制服を脱いで、よみと姿見の前で向き合っていた。
中身を聞く限りいつもの二人の会話だが、なぜか言葉が途中で途切れがちだ。
そしてついに、会話そのものが途切れた。無言で下着一枚の互いを見つめる二人。
沈黙を振り払ったのは、よみだった。
「…あのさ……なんて言っていいか…わからないんだけど…」
恐る恐る口を開くよみの頬が、みるみる赤くなっていく。
それを見てともは何もかも悟ったが、もし違っていたらという思いが、言葉を婉曲にさせた。
「…言いにくいんなら………、言葉じゃなくて……いいよ」
ともが真っ赤になってそれだけ言い終えるのと、よみがともを抱きすくめるのが、同時だった。
とももよみの白い肌に手を回す。同じ波長の激しい痺れが、二人の体中をつらぬいた。
互いの腕はぬくもりを求めて相手の体をまさぐり、互いの唇は相手の首筋に愛の証を刻む。
「ああ……、ずっと好きだった!」
「私も…あ、ああっ」
よみはともと唇を重ねながら、片手をとものショーツに差し込み、
もう一方の手でブラジャーのホックを外しにかかる。
「…あうっ……こ、ここじゃイヤ…」
ともは陶酔の中から、かろうじてそう言った。
「……そうだな…」
よみはそう言うと、ともを抱きかかえてベッドへと歩き出した。こころもち足がふらついている。
「…よみ…大丈夫?」
「……誰かさんが…、人の敏感な場所を…さわりまくるからだ」

199 名前:あず青労同大阪派 教労委員会 ◆cYgcZQZw 投稿日:2002/11/04(月) 06:09
【4】掛け布団も下着も、床に乱雑に散らばっている。
制服に至っては、カーテンの向こう側に脱ぎ捨てたままだ。
だが、思いを遂げた二人にとって、そんなことはどうでもよかった。
抱き合ったまま余韻を確かめ合う、よみととも。
何もかもが真っ白で、時計が針を進める音だけが聞こえる。
「…とも……」
「え?」
「……ずっと…こうしていたいな…」
「うん、…私も大好きだよ。よみも、よみのこのぷにぷにした感触も…」
ともはそこまで言って、「しまった!」と思った。
しかし、すでに遅かった。
「ダブルチョーップ!!!」
ともは遠ざかる意識の中で、授業の終わりを告げるチャイムを聞いた。
鐘の音は、彼女とよみとを祝福しているように聞こえた。【完】