- 578 名前:榊と榊の猫 投稿日:02/10/22 23:42 ID:???
- その日、ボクは彼女を助けた。
だからボクは―――榊の猫だ。
その日、いつもどうりに学校から榊が帰ってきた。
でも、なんだか様子が変だ。
いつもは帰宅一番ボクを抱き締めて床を転げまわるのに、今日は帰るなりさっさと寝てしまった。
男の匂いもしないのに何でまた・・・
ねえ、どうしたの榊
どうしたのったらぁ・・・
- 579 名前:榊と榊の猫 投稿日:02/10/22 23:43 ID:???
- ―――そっか、今日は解剖実習の日だったのか
でも・・・
獣医っていうのはそういう職業じゃないのか
ボク達の中にはパンヤや綿が詰まってる訳じゃないんだ
傷つけば血も流れるし、病気にもなる・・・
榊・・・榊・・・
わかってる わかってるよ、かわいそうに
ボクがなぐさめてあげるよ
ボクだけが君の悲しみを理解してあげられるんだ
そのためにボクははるばる西表島からやって来たんだから
だから、ね
今日は泣きたいだけ泣いていいんだよ
ボクが涙を拭いてあげるから
ずっと、側にいてあげるから
- 580 名前:榊と榊の猫 投稿日:02/10/22 23:44 ID:???
- 次の日、彼女はいつものように大学へ向かった
涙の跡がわからないように、何度も何度も顔を洗って―――
いってらっしゃい
ところで・・・
ボクは今風邪を引く方法を模索中だ
そりゃもちろん彼女の患者第一号になるためだ
でも、体が丈夫なせいか、なかなかうまくいかない
誰か知らないだろうか―――
イリオモテヤマネコが風邪を引く方法を
〜Fin〜